粉体塗装の塗装ラインについて
こちらのページでは粉体塗装の塗装ラインについてご紹介しております。粉体塗装は『静電粉体塗装法』と『流動浸漬法』の2種類が代表的なものとして挙げられます。特に工業用 板金粉体塗装.comを運営している株式会社久野製作所では、板金加工品への粉体塗装を、エアーによりガン先から粉体を吐出させ塗装する『静電粉体塗装法』にて施しております。静電粉体塗装法はアースをとった被塗物にプラスの電気を帯びさせ、マイナスの電気を帯びさせた粉体塗料を静電気で付着させる塗装方法になります。静電粉体塗装法の大まかな流れは次のようになります。
また静電粉体塗装法は、粉体塗料にどうマイナスの電気を帯びさせるかで『コロナ帯電式塗装法』と『摩擦帯電式(トリボ)塗装法』の2種類に大別されます。
コロナ帯電式塗装法について
コロナ帯電式塗装法は、静電粉体塗装法の中でも最もメジャーな塗装方法になります。この方法では、塗装ガンの先端にある針状のコロナピンを高電圧(通常は-50~-100kV)に印加させることで、ガン先から吐出される粉体塗料の粒子にマイナスの電気を強制的に帯びさせます。こうすることでアースを取った被塗物へ、静電気を利用して粉体を付着させることができるのです。
この塗装法におけるメリットとしては、塗装ガンの構造が簡単であることから粉体塗料の付着効率が良いことと、膜厚を安定させることができるということが挙げられます。一方で凹部の内側には粉体塗料の粒子が入りにくいという欠点もあります。これは凹部内側には電界作用で発生する電気力戦が侵入できないため(ファラデーゲージ効果)です。更にその凹部に塗装しようとスプレーを噴射し続けると、静電反発や膜厚ムラが生じることで塗装外観不良へと繋がります。
摩擦帯電式(トリボ)塗装法について
摩擦帯電式(トリボ)塗装法はコロナ帯電式塗装法でネックとなる凹部内側への塗装も行いやすい静電粉体塗装法となります。具体的には粉体塗料をスプレーガン内をエアで輸送する際に発生する摩擦により、粉体塗料にマイナスの電気を帯びさせる方法です。コロナピンを使用して強制的に帯電させるわけではありませんので、確実に塗料が帯電するようスプレーガンのストロークを長くしたり、スプレーガンの内壁を樹脂製にするなどの工夫が採られます。
先述の通り、この方法では凹部の内側や複雑な形状への粉体塗装も行いやすいことがメリットとなります。一方で強制的に帯電させるわけではないことから、帯電のしやすさは塗料の特性にも左右されること、日本のような気候では湿度の影響も受けてしまうことなどがデメリットとして挙げられます。